Googleアップデートの歴史|アルゴリズムの仕組み・今後のSEO対策
企業のWebサイトなどでSEO対策を行う際、Google検索アルゴリズムの変化について気になった方も多いのではないでしょうか。Google検索の評価基準に反するWebサイトは検索順位が低下しアクセス数が減るため、アルゴリズムを理解してコンテンツを作ることが大切です。
この記事では、Google検索アルゴリズムの仕組みや、アルゴリズムアップデートの歴史、今後のSEO対策で重要となる考え方について解説します。Googleコアアップデートの意味や歴史を知り、自社サイトの運営に活かしたい方はぜひ参考にしてください。
1.Googleコアアップデートとは?
Googleコアアップデートとは、Google検索エンジンでより良いWebサイトを上位表示させるために実施される仕様変更のことです。Googleコアアップデートは、Web上にアップされているコンテンツの傾向やユーザーのニーズに応じて定期的に行われています。
Googleの検索結果に良質なWebサイトを集め、検索ユーザーの利便性を高めることがGoogleコアアップデートの目的です。
1-1.Google検索アルゴリズムの仕組み
Googleが開発・運営する検索エンジンは、Web上にアップされているコンテンツの質を複数のアルゴリズムによって評価しています。
Web上には大量のコンテンツが存在しています。Google検索アルゴリズムが各コンテンツのランク付けを行い、それを検索結果画面に反映するため、ユーザーは良質な情報を短時間で見つけることが可能です。
Google検索における順位を決める主な要因として、次の5つが挙げられます。
検索意図の把握 Google検索アルゴリズムは、検索ユーザーの意図を分析することが可能です。ユーザーが特定のキーワードを検索する際、幅広い情報を探しているか・お店や商品を探しているかなど、検索意図の把握が行われます。 Webページの関連性 ユーザーが検索したキーワードと、Webページの文章に含まれるキーワードの一致度は、検索アルゴリズムにおける重要なポイントです。一致度が高いWebページは、より関連性が高いと評価され表示順位が上がります。 コンテンツの品質 コンテンツの品質とは、Webページの閲覧しやすさ・内容の信頼性などによって評価される要因です。複数の著名なWebサイトからリンクされているWebページは、品質が高いと判断されます。 ユーザビリティ ユーザビリティの評価基準は、異なるブラウザやデバイスでWebページが正しく表示できるか、短時間で読み込まれるか、などのポイントが挙げられます。より多くの環境で快適に閲覧できるWebページは、ユーザビリティが高いと評価されます。 文脈の考慮 Google検索アルゴリズムにおける文脈とは、ユーザーの所在地や使用言語・過去の検索履歴などの情報です。同じキーワードが検索された場合であっても、ユーザーが異なれば別のWebページが上位表示される可能性があります。
Google検索で上位表示を狙う際は、上記の要因に配慮したWebサイト作りが重要です。
2.Googleコアアップデートの歴史
主なGoogleコアアップデートとして、以下のアップデートが挙げられます。
- 2011年|パンダアップデート
- 2012年|ペンギンアップデート
- 2012年|パイレーツアップデート
- 2013年|ハミングバードアップデート
- 2014年|ベニスアップデート
- 2015年|ドアウェイアップデート
- 2017年|健康アップデート
- 2018年|スピードアップデート
- 2019年|BERTアップデート
- 2020年|December 2020アップデート
Googleコアアップデートの歴史を知ることで、Googleがこれまでにどのような点を重視して検索アルゴリズムを改善してきたかが分かります。また、今後のSEO対策で重要となるポイントも把握できるため、より良いWebサイト運営が可能です。
ここでは、2011年から2020年にかけて実施されたGoogleコアアップデートについて解説します。
2-1.2011年|パンダアップデート
パンダアップデートは、ユーザーにとって有用と評価されたWebページの掲載順位を高めるためのGoogleコアアップデートです。
パンダアップデート以降、次のいずれかに該当するWebページは低品質と評価されるようになりました。
●自動生成された文章
検索キーワードを含めた文章を自動生成するツールを使って作られたWebページは低く評価され、検索順位を下げられます。
●誘導ページ
誘導ページとは、特定の検索キーワードで上位表示されることだけを目的に作られた、有用性の低いWebページです。地域名などのキーワードを含む複数のWebサイトやブログを作成し、メインとなる外部サイトへ誘導するような手法は無効となりました。
●無断複製されたWebページ
既存のWebページを無断で複製して作られたWebページは、低評価の対象です。
●内容の薄いアフィリエイトサイト
アフィリエイトを目的として作られたWebページで、独自性のある情報が含まれない場合は低評価の対象となります。
パンダアップデートにより、価値のないWebページ・Webサイトの評価が下がり、検索結果が大きく変化しました。
2-2.2012年|ペンギンアップデート
ペンギンアップデートは、不正なSEO対策が施されたWebページを検索上位から排除するためのGoogleコアアップデートです。
ペンギンアップデート以降、次のような手法を用いて作られたWebページは低評価の対象となりました。
●クローキング
クローキングとは、検索エンジンのプログラムに対してユーザーと異なるWebページを提示し、掲載順位を不正に高めようとする手法です。特定のキーワードを過剰に含むWebページを使ったクローキングは無効となりました。
●隠しテキストまたは隠しリンク
ユーザーからは見えない文字色や文字サイズを使って、SEO目的のリンクをWebページ内に多数含める手法は、低評価の対象です。
●不正なリダイレクト設定
別のURLへ自動的にアクセスさせるリダイレクト設定を用いて、検索エンジンのプログラムとユーザーに異なるWebページを表示する手法は、不正なSEO対策とみなされます。
ペンギンアップデートにより、ユーザー目線のSEO対策として知られる「ホワイトハットSEO」がより評価されるようになりました。
2-3.2012年|パイレーツアップデート
パイレーツアップデートは、著作権を侵害するWebページに低評価を与えるためのGoogleコアアップデートです。
パイレーツアップデートでは次のような変更が行われました。
●検索上位に公式ページを表示
映画・音楽・本・テレビドラマなどに関するキーワードが検索された際、各作品の公式なコンテンツが上位表示されます。
●著作権侵害キーワードの削除
著作権を侵害するWebページと関連性の高いキーワードは、Google検索のオートコンプリート機能から削除されるようになりました。
●著作権侵害報告のあったWebページの排除
Google社へ著作権侵害報告のあった違法なWebページは低評価の対象です。Google社は著作権保有者からの報告を随時受け付け、必要に応じてアルゴリズム更新を実施しています。
アメリカでは、デジタルコンテンツを守るための「デジタルミレニアム法案(DMCA)」が制定されており、 DMCAに違反するコンテンツは評価が下がるようになりました。
2-4.2013年|ハミングバードアップデート
ハミングバードアップデートは、ユーザーの検索ニーズをより正確に判断し、より有用なWebページを上位表示するためのGoogleコアアップデートです。2012年以前に始まった各アップデートが不正なWebページの排除を目的としていたことに対して、ハミングバードアップデートは「検索ユーザーの利便性向上」を目的としています。
ハミングバードアップデート以降、音声検索・会話形式のキーワード・「渋谷 レストラン」といった「地域名+サービス名」などの検索結果が向上しました。
これにより、ユーザーの検索意図にあう良質なWebページを作成することが、SEO対策において重要となっています。
2-5.2014年|ベニスアップデート
ベニスアップデートは、検索ユーザーの位置情報を検索結果に反映するためのGoogleコアアップデートです。飲食店・娯楽施設・医療系サービス・理髪店・マッサージ店などを検索する際に、検索ユーザーがいる場所を加味して適切なWebページが表示されるようになりました。
たとえば、「歯医者」というキーワードで検索した場合、東京都にいるユーザーと大阪府にいるユーザーでは上位表示されるWebページが異なります。
そのため、ローカルビジネスのWebサイトでは、自店の正確な位置情報を含めたコンテンツを作ることが重要です。全国各地で店舗を運営している場合は、各地域で検索したユーザーに適切な情報を表示できるように、各店舗のWebページを作成しましょう。
ただし、地域名だけが異なる複数のWebページを作成することはSEO対策に悪影響を与えるリスクがあるため、各店舗ページに独自の情報を含めるなどの工夫が必要となります。
2-6.2015年|ドアウェイアップデート
ドアウェイアップデートは、ユーザーを特定のWebサイトへ誘導させるドアウェイページを排除するためのGoogleコアアップデートです。
ドアウェイアップデートで低評価と見なされる条件は次の通りです。
●特定のキーワードを入れ替えただけのWebページ
ドメイン名やページタイトルのキーワードだけを変更して量産されたWebページは低評価の対象となります。
●孤立しているWebページ
Webサイト内の他ページに移動できるリンクが無く、孤立している状態のWebページも、低評価の対象です。
誘導目的のWebページは、パンダアップデートやペンギンアップデートでも低評価の対象となっていました。ドアウェイアップデートでは、ドアウェイページを違反行為と定めるため、より厳しい条件が設定されています。
2-7.2017年|健康アップデート
健康アップデートは、医療・健康に関するキーワードが検索された際に良質なWebサイトを上位表示するためのGoogleコアアップデートです。
健康アップデート以前は、より多くの情報を掲載しているWebサイトがランキング上位に表示されており、情報の正確性・信頼性に関する精度はあまり高くありませんでした。健康アップデートにより、情報の質を重視したアルゴリズムが採用され、医療機関・有資格者などが発信する情報は、信頼性の高いコンテンツとして評価されています。
そのため、医療や健康ジャンルのWebサイトや、健康食品・化粧品を扱うECサイトなどを運営する場合、コンテンツの質を高める必要があります。
2-8.2018年|スピードアップデート
スピードアップデートは、Webページの読み込み速度を改善し、検索ユーザーの利便性を高めるために実施されたGoogleコアアップデートです。
スピードアップデートでは、読み込み速度が極端に遅いWebページが低評価の対象となりました。従来もWebページの読み込み速度は評価対象でしたが、スピードアップデート以降はPC検索・モバイル検索の両方が評価対象となったことが特徴です。
スピードアップデートの影響で検索順位が下がった場合、読み込み速度を改善すれば順位を高められます。ソースコードを正しい構造で記述し、画像・動画などの容量を小さくするなどの対策を行いましょう。
なおWebページの読み込み速度は、Googleが提供するツールである「Page Speed Insights」などで計測できます。
2-9.2019年|BERTアップデート
BERTアップデートは、ユーザーの検索意図をより正確に汲み取るために実施されたGoogleコアアップデートです。
BERTアップデート以降、Googleの検索アルゴリズムには人工知能による言語処理技術が導入されました。新しい検索アルゴリズムでは、検索キーワードによるニュアンスの違いなど細かなポイントまで加味して、最適な検索結果が表示されます。
スマートフォンや検索エンジンが普及し、検索キーワードがより多様で複雑になったことで、BERTアップデートによる最適化が行われました。
BERTアップデートに対応するためには、ユーザーニーズに沿った情報量や情報が簡単に手に入るような設計を意識することが大切です。文章の内容・画像の使い方・デザインの見やすさなどを改善し、より分かりやすいコンテンツを作りましょう。
2-10.2020年|December2020アップデート
December2020アップデートは、検索ユーザーの利便性をさらに高めるために実施されたGoogleコアアップデートです。December2020アップデート以降は、「コンテンツの品質」と「ユーザー体験」がより重視されるようになりました。
コンテンツの品質とは「情報の正確性や内容の濃さ」を表す要素で、ユーザーからの口コミやレビューの投稿なども評価の対象となります。
ユーザー体験とは、読み込み速度・操作可能になるまでの遅延時間などで評価される「利便性」のことです。広告の表示・Webフォント読み込みの影響で発生するレイアウトのずれなども、ユーザー体験を評価する際の指標となります。
なお、ユーザー体験に関する各指標の評価は、Googleが提供する「Web Vitals」などで確認可能です。
3.今後のSEO対策で重要となる考え方
SEO対策を行うために役立つ情報は、「Google検索セントラル(旧称GoogleWebマスター)」にまとめられています。Google検索セントラルに掲載されている内容や各種ツールを活用することで、Webページの改善点を見つけられます。
ここでは、今後のSEO対策で重要となる考え方として、「E-A-T」と「SERPs」の2つについて解説します。
3-1.E-A-T
E-A-Tとは、「Expertise(専門性)」、「Authoritativeness(権威性)」、「Trustworthiness(信頼性)」の頭文字をとった用語です。ユーザーに役立つより高品質なWebサイトを作るためのポイントとして、E-A-Tが重視されます。
E-A-Tに関する主な対策方法は次の通りです。
●金融・健康などに関するコンテンツは専門家が作成・監修する
Google検索では、特定のジャンルに関するWebページについてE-A-Tが厳しくチェックされます。ショッピング・金融・健康・法的サービスなどのトピックは「YMYL(Your Money Your Life)」と呼ばれ、一般の方によるSEO対策が難しい傾向です。
そのため、YMYLジャンルのWebページは、専門知識を持つ有資格者などが執筆または監修することが好ましいと言えます。
●情報の根拠を明示する
アンケート調査の結果・数値データなどを記載する際は、情報の根拠を明示することが重要です。公的機関が提供する一次情報を情報の根拠として明示すれば、Webページの信頼性や専門性が高まります。
E-A-Tが意識されたWebサイトは、正確で有益な情報を提供しているとGoogle検索アルゴリズムに評価されるため、Google検索での上位表示が期待できます。
3-2.SERPs
SERPsとは、「Search Engine Result Pages(検索結果画面)」を意味する用語です。
Googleの検索結果画面には数多くの機能があり、キーワードによって上位表示されるコンテンツが異なります。
主なSERPs対策として次の項目が挙げられます。
●リッチスニペットが表示されるようにWebページを作成する
リッチスニペットとは、飲食店や宿泊施設などが検索された際に、ユーザーからの評価やレビューがSERPsに表示される機能です。
リッチスニペットを表示させたい場合、Webページのソースコードを「構造化データ」と呼ばれる方法で作成しましょう。構造化データのマークアップは直接コーディングするほか、Googleが提供する「構造化データ マークアップ支援ツール」などで実装できます。
●強調スニペットが表示されるようにWebページを作成する
強調スニペットとは、SERPsの最上部にWebページの一部が大きく表示される機能です。強調スニペットが表示されると、視認性が増すためアクセスがより集めやすくなります。
自社のWebページが強調スニペットとして選ばれるためには、ソースコードの正確性・検索順位の高さ・情報の分かりやすさなどが重要です。
リッチスニペットや強調スニペット以外にも、SERPsにはさまざまな機能があります。SERPsの仕様は頻繁に変更されるため、最新の機能にあわせてWebページの内容を最適化しましょう。
まとめ
Google検索のアルゴリズムは、ユーザーの利便性を高めるために定期的にアップデートされてきました。高品質なWebサイトを上位表示するためのパンダアップデートや、ユーザーの所在地に応じて検索結果を最適化するベニスアップデートなど、さまざまな改善が行われています。
検索エンジンのアルゴリズムが変わるとSEO対策で重要なポイントも変化するため、最新の動向を把握することが大切です。Webサイトの検索順位を高めたい方は、E-A-TやSERPsなどの概念を理解し、今後のアルゴリズム変更に備えてみてはいかがでしょうか。