CRO(Conversion Rate Optimization)とは|実施の流れと施策例も
CROとは、コンバージョン率を高める上で非常に大切なことです。コンバージョンとは、自社のWebサイトに訪れたユーザーの購買意欲を駆り立て、最終的に成約を獲得できたことを指します。
CROについて理解を深めることで、コンバージョン率を上げることができます。本記事では、CROの基本的な概要から具体的な施策例まで紹介します。自社サイトのコンバージョン率が伸び悩んでいるWeb担当者は、ぜひ参考にしてください。
1.CRO(Conversion Rate Optimization)とは?
CROとは、Conversion Rate Optimizationの頭文字を取って造られた略語で、日本語に訳すと「コンバージョン率最適化」となります。
コンバージョン率と聞くと、LPOやEFOといった施策を思い浮かべる人が多いでしょう。また、LPOとEFOは、CROと並列的な意味であると理解されることがありますが、実際には異なります。
【LPO】
ユーザーをコンバージョンにつなげるためのランディングページについて、見た目や内容を最適化することで、コンバージョン率の改善を目指す施策
【EFO】
ユーザーが情報を入力するエントリーフォームについて、より入力しやすくするための施策
LPOやEFOは、コンバージョン率の改善を目指すCRO施策の1つであり、CROの中にLPOやEFOが含まれているという関係があります。
2.CROを実施する流れ
CROを実施するにあたり、順序立てて各施策を実施する必要があります。各作業について、段階を踏まえて実施することで、効率的なCRO施策の実施につながります。また、CROの実施は、一度で済むとは限りません。PDCAサイクルを回して、トライアンドエラーを繰り返すことが大切です。
ここでは、CROを実施するための基本的な流れについて、4つの段階に分けて詳しく解説します。
2-1.担当者・責任者の決定
CRO施策の実施は、他の仕事を抱えながらできるほど簡単ではありません。そのため、明確な担当者や責任者を決定して、CRO実施の専門プロジェクトを設ける必要があります。
責任者を決めた後は、最初の段階でプロジェクトに必要な人材や費用、工程時間を算出します。CROの作業は簡単なことではないため、時間や予算をかけてプロジェクトに取り組みましょう。
2-2.仮説の構築
CROを実現するためには、プロジェクトを始める前に「正しい仮説」を構築することが重要です。また、仮説を立てる際には、定量調査と定性調査を実施して、仮説の根拠を明示する必要があります。
【定量調査】
数量的なデータで示すことができる指標に関する調査。下記のデータを参考にして、サイトのどこに問題があるか分析し、具体的な施策について検討する。
- PV数(ページの表示回数)
- UU数(ユーザーがサイトに訪れた回数)
- CV数(コンバージョン数)
- 直帰率(訪れたユーザーが、何も行動せずに即離脱した割合)
【定性調査】
数量的なデータで示すことができない指標に関する調査。アンケートやインタビューなどで、ユーザーの感想を収集しながら、サイトの問題点について分析し、具体的な施策を検討する。定性調査では、下記の点に留意するべきである。
- 複数人(できれば5人以上)にアンケート・インタビューを実施する
- データでは表現できない、ユーザーの主観的な気持ちをしっかりと聞き取ることが大切である
- ユーザーが実際に、サイトを操作しながら、感想を聞くことで、よりリアルな意見を聞ける
定量調査で客観的なデータを収集しつつ、数値では表現できない声を定性調査で明らかにすることで、構築できる仮説の精度は、より高いものとなります。
2-3.テストの実施
定量調査と定性調査をもとに仮説を構築した後は、テストの段階に入ります。現状のWebサイトの問題点を確認するために、サイトの一部分を変更した「Aパターン」と「Bパターン」を用意して検証する、ABテストが有効です。
【ABテストの実施例】
- ランディングページに関するテスト
ユーザーを資料請求に誘導するボタンの文言を、「無料申し込みはこちら」と「資料請求はこちら」の2パターンを用意して、コンバージョン率を比較する。 - エントリーフォームに関するテスト
エントリーフォームの項目数について、項目数が「多いパターン」と「少ないパターン」を用意して、問い合わせの状況を比較する。
このような細かいテストを数回繰り返すことで、検証データが集まり、サイトの最適化を実現する方法が明らかとなります。特に、ECサイトではABテストが非常に重要です。ABテストを行う場合、売上やクリック率以外にも、サイト訪問者の離脱率や直帰率などのデータも確認しておきましょう。
2-4.解析の実施
複数回のABテストを終えた後は、ヒートマップやGoogleアナリティクスを用いて、必ず検証結果をもとに解析を行いましょう。定量調査の数値が改善していれば、CROの作業は進展しています。反対に数値に改善が見られない場合は、また新しい仮説を立ててテストを行うようにしましょう。
また、ユーザーの使用感や使い勝手を知るための定性調査も忘れずに行ってください。
3.CROの基本施策
CROの施策には、さまざまな方法があります。ここでは、「エントリーフォームの改善」「反応装置(CTA)の改善」「導線の改善」といった3つのCRO改善ポイントについて、紹介します。
これら3つの方法は、CROを実現させる効果が期待できるため、ぜひ参考にしてください。
3-1.エントリーフォームの改善
エントリーフォームとは、ユーザーが商品を購入しようとした際や、資料を請求する際に個人情報を入力する機能を指します。
個人情報の入力フォームは、入力項目を最低限に留めて、できるだけ簡単で使いやすくするようにしましょう。不要な入力項目があったり、エラーで入力内容が消えてしまったりすると、ユーザーにとっては非常に不便で、エントリーフォームの部分で離脱してしまうことがあります。
エントリーフォームで離脱させないためには、使いやすくしたり、入力を簡単にしたりするなどの施策を実施する必要があります。
現在では、さまざまなツールが開発されているため、エントリーフォームの改善に向けて、自社にあったツールを導入しましょう。
3-2.反応装置(CTA)の改善
反応装置とは、「商品購入はこちら」「資料請求はこちら」といったコンバージョンに直結するボタンのことを指します。反応装置は「Call To Action」の頭文字を取り、一般には「CTA」と呼ばれています。
反応装置は、自社のWebサイトに訪れたユーザーをコンバージョンに導くための大切なボタンです。反応装置の改善施策には、具体的に下記のような方法があります。
- 設置する場所を変える
- ボタンのデザインを分かりやすくする
設置するボタンは、色・文言・位置などを意識することで、コンバージョン率の改善が可能です。自社Webサイトにあった反応装置を選んで、適切に設置しましょう。
3-3.導線の改善
導線の改善とは、自社サイトに訪れたユーザーがコンバージョンに至るまでの道筋を見直すことです。訪れたユーザーが知りたい情報を得られるようにリンクを適切な場所に設置したり、ナビゲーションを設置したりする必要があります。
導線の改善では、自社サイトの各ページからエントリーフォームに遷移した割合や、ユーザーがフォームに入力し無事コンバージョンを達成した割合を分析します。前者の割合が低い場合は、反応装置の改善を実施する必要があります。一方で、後者の割合が低い場合は、エントリーフォームの見直しが必要です。
このように、導線の改善ではサイト全体・ページ全体で、ユーザーの行動を分析して、CROにつながる施策を実施する必要があります。
まとめ
コンバージョン率の改善に向けたCRO施策を実施するためには、仮説構築とテストの繰り返しが必要です。そのため、他の業務を行いながら片手間で行える業務であるとはいえません。社内で責任者・担当者を決定して、仮説構築とテストを繰り返す必要があります。また、仮説構築には、定量調査と定性調査によって、根拠を持たせることが重要です。
CROの施策には、「エントリーフォームの改善」「反応装置(CTA)の改善」「導線の改善」の3つが効果的であるとされています。コンバージョン率を改善するために、自社に適したCRO施策を選択して実施しましょう。