セマンティック検索とは？仕組みや事例・今後のSEO対策について解説

効果的なSEO対策を行うためには、検索エンジンのセマンティック検索を考慮して施策を導入する必要があります。セマンティック検索は、検索結果の表示形式を変えて、目立つWebサイトと目立たないWebサイトを明確に分けてしまうためです。

セマンティック検索とは何かを知らなくとも、検索エンジンを使う中でセマンティック検索に触れている人は多いでしょう。

そこで今回は、セマンティック検索の意味や特徴、セマンティック検索の事例、SEOに与える影響などを解説します。

そもそもセマンティック（semantic）とは「意味」「意味論」といった概念を指す単語です。IT業界では「データの意味をコンピューターが理解した上で処理する技術」といった意味合いで使われています。

つまりセマンティック検索とは、検索クエリの意味をコンピューター（検索エンジンの人工知能）が理解した上で、最適化した検索結果を表示する技術のことです。

SERP（Search Engine Result Pages）とは｜機能や対策方法も紹介

当記事では、SERP（Search Engine Result Pages）を構成する要素や表示される機能について解説します。SERPを意識した対策方法も紹介するため、効果的な対策を施したい方はぜひ参考にして下さい。

そもそもセマンティック検索は、ユーザーファーストの考え方に基づき、ユーザーニーズに対応した情報を検索上位に表示する目的で導入された技術です。以下では、セマンティック検索の特徴と検索結果の事例をより詳細に解説します。

セマンティック検索では、検索エンジンが検索意図を理解した上で膨大な情報の中から適合するものを探し、上位表示を行います。たとえば、サッカーの試合翌日に「昨日 サッカー」と検索した場合の検索意図は通常、「試合結果を知りたい」です。検索エンジンは検索意図を自動的に推測した上で試合結果に関するコンテンツを含むWebページを探し、検索上位に表示します。

また、ユーザーの表現の揺らぎも考慮した検索意図の推測も可能です。たとえば、「トマト 育て方」と検索した場合には、トマトの育て方だけでなく、栽培方法を説明するWebページも検索上位に表示される可能性があります。「近くの飲み屋」と検索した場合には周囲のバーや居酒屋の情報も、検索上位に表示する候補です。

セマンティック検索ではソーシャルメディアやアプリの投稿も参照し、検索結果に表示することがあります。ユーザーの疑問に対する回答が、ソーシャルメディアやアプリ内で見つかるケースもあるためです。

セマンティック検索では検索エンジンが検索結果に表示する内容を決定する際、ソーシャルメディアやアプリのプロフィールを参照し、発信者の信頼度を判断することもあります。検索エンジンに自分自身の信頼度をアピールするためには、プロフィールを充実させた上、魅力的なコンテンツを発信することが重要です。

セマンティック検索に対応したWebサイトを構築するためには、セマンティック・ウェブの考え方に基づき、構造化データのマークアップを適切に行う必要があります。セマンティック・ウェブとは、コンピュータが自律的に情報収集や処理を行えるWebサイトの構築を後押しするプロジェクトです。

人間は「トップページ>商品一覧」の形式で作成されたリンクを見て、「パンクズリスト」と認識できます。検索エンジンには人間同様の認識能力がないため構造化データを活用して、情報提供することが必要です。

構造化データのマークアップは、以下いずれかの方法で行います。

「構造化データを適切にマークアップできたか」は構造化データテストツールを利用すると、確認が可能です。構造化データは適切にマークアップしないと有効に機能しない上、誤った記述によってスパム認定されるケースもあるため、注意しましょう。

Googleは時代の変化に応じて複数のステップを踏み、セマンティック検索を導入しました。セマンティック検索についてより深く理解するためにも、アップデートの歴史と背景を把握しておきましょう。

ハミングバードアップデートは、「人間と会話するように行える検索」を目指して実施されたアップデートにあたります。ハミングバードアップデート以前の検索で「近く コンビニ」と検索クエリを入力した場合、「近く」と「コンビニ」を含む情報が表示されていました。ハミングバードアップデート後は「現在地周辺のコンビニを知りたい」といった検索意図が理解され、役立つ情報が検索結果に表示されます。

ハミングバードアップデート後の検索エンジンでは、検索クエリを会話調で入力し、情報収集することも可能です。たとえば「母の日には何をするか」と検索すると、母親の喜ぶ母の日の過ごし方やプレゼント案などのコンテンツが表示されます。

RankBrainは、検索クエリに対してより精度の高い、検索意図に近い検索結果を表示する目的で導入された検索アルゴリズムです。RankBrainはAI（人工知能）によって自主的に以下のデータを分析して学習し、検索クエリに適合する情報を表示します。

検索結果におけるクリックやコンバージョンが多いWebページは、「検索クエリとの関連性が高い」と検索エンジンに学習されます。他のWebサイトによる被リンクが多いもしくはポジティブなクチコミが目立つWebページは、検索エンジンからも高い評価を狙うことが可能です。

ただし、検索エンジンがWebページを評価する際には、被リンクの質も考慮します。Webページと関連性の低いWebサイトからリンクされても、メリットは薄いでしょう。

2019年にGoogleは、検索手段の多様化に対応する目的で、BERTアップデートを実施しました。BERTはRankBrain同様にAIを利用した検索アルゴリズムにあたるものの、特徴が異なります。

自然言語処理とは、人間が普段の会話で使用する曖昧な表現や言語をコンピュータで処理・分析する技術です。BERTアップデートによって検索エンジンの検索意図を理解する力が強化され、検索クエリのニュアンスの違いまで認識し、より精度の高い検索結果を表示できるようになりました。

セマンティック検索にはさまざまな種類があり、それぞれ特徴が異なります。SEOでセマンティック検索に対応するためには、種類ごとの事例と効果を知ることが大切です。

以下では、セマンティック検索の主な事例として4つを取り上げ、それぞれの表示形式について解説します。

リッチスニペットとは、検索結果で表示されるテキスト（スニペット）に付加される、ユーザーニーズが高い情報のことです。通常のスニペットよりも詳細な情報を表示することで、ユーザーがクリックするWebページを判断する時の支援を行います。

たとえばユーザーが予算内で利用できる飲食店を探す場合、通常はレビューサイトや飲食店のWebページをクリックして、価格帯の情報を探さなければなりません。リッチスニペットで検索結果上に価格帯が表示されていると、価格帯でお店を選びたいユーザーは素早く必要な情報を得られます。

ナレッジグラフとは、キーワードの検索結果とは別に、ユーザーニーズが高い情報や画像を表示する機能のことです。ナレッジグラフで表示される情報は検索結果の上部、もしくは上部右側に配置され、基本的に検索結果の上位よりも目立たせられます。

たとえば「日本」で検索した場合、検索結果画面の右側に表示される日本国旗・地図・各種データといった概要がナレッジグラフです。ナレッジグラフは信頼性が高いデータ提供元を参照しており、ユーザーは検索結果画面のみで、検索クエリの大まかな情報を得ることができます。

【図表で分かる】ナレッジグラフとは？仕組みから掲載するまでの全手順

本記事では、Google検索結果に大きく表示される「ナレッジグラフ」の仕組みやメリット・デメリット、さらにナレッジグラフへの掲載方法・内容変更方法まで紹介します。ナレッジグラフを活用して、効果的に集客したい人はぜひ参考にしてください。

アンサーボックスとは、検索したキーワードに対する答えを表示する機能です。アンサーボックスで表示される答えは検索結果ページの上部に配置され、アンサーボックス下側に通常の検索結果一覧が続きます。

たとえば「ゴールデンウィーク」で検索した場合、検索結果画面の上側にアンサーボックスが生成されて、ゴールデンウィークの期間が表示されます。ゴールデンウィークの期間を調べたいユーザーは、アンサーボックスだけで必要な情報を得られるため、検索結果一覧を見る必要がありません。

検索したキーワードを理解して、ユーザーが知りたいシンプルな答えを返すことが、アンサーボックスの特徴です。

類義語表示とは、検索結果のスニペットに含まれる検索クエリと類義語を太字で強調表示する機能です。ユーザーは検索結果一覧の太字部分に注目することで、知りたい情報があるかを判別できます。類義語表示は検索クエリの類義語も太字になるため、ユーザーが興味関心の持てる検索結果を提供できることが特徴です。

たとえば「母の日 贈り物」で検索した場合、類義語表示によってスニペットの「母の日」「贈り物」「プレゼント」が太字で強調表示されます。「贈り物」と「プレゼント」は類義語であり、贈り物を検索するユーザーは、プレゼントを検索するユーザーと同義です。

そのため、類義語表示で類義語のキーワードも太字で強調することで、ユーザーの検索意図に沿う検索結果を表示できます。

セマンティック検索とあいまい検索はいずれも、検索クエリの表記の揺らぎを吸収し、検索結果を表示する検索手法にあたります。しかし、セマンティック検索とあいまい検索では、検索結果を表示する仕組みや特徴が異なることに注意しましょう。

あいまい検索は入力された検索クエリを分解して文字列の出現頻度・出現集中度・出現位置などを分析・評価し、検索結果を表示します。そのため、あいまい検索では検索クエリと一致する文字列を多く含むWebページのスコアが高まり、ユーザーニーズとのミスマッチが生じかねません。

セマンティック検索では検索結果を決定する際に、検索クエリの構文解析や意味解析を行います。構文解析や意味解析の目的は、検索意図を正しく把握することです。検索意図に沿わないWebページに検索クエリと一致する文字列が多く出現したとしても、上位表示されません。

検索クエリとは何かを知りたい場合は、以下のページを参考にしてください。

検索クエリとは？3つの種類と調べ方からキーワードとの違いまで

当記事では、検索クエリの概要や種類、キーワードとの違いを分かりやすく説明します。また、検索クエリの調べ方やSEO・リスティング広告における検索クエリの活用方法も紹介するため、検索クエリに興味のある人は、ぜひ参考にしてください。

セマンティック検索は検索意図に適合しない低品質のコンテンツを見抜き、上位表示の対象から除外するためにも使用されている技術です。セマンティック検索がSEOに与える影響を以下でより深く理解し、Webサイトの改善につなげてください。

セマンティック検索を意識したSEO対策では、ユーザーと検索エンジンの両方にとって分かりやすいコンテンツを制作する必要があります。記事を作成する際にはテーマを明確にした上で「どのような構成がユーザーに親切か」を検討し、大見出しや小見出しを作成しましょう。

SEO対策を意識して文章構成を検討する場合に大見出しは、トピックごとに記事を区切るイメージで作成する方法が基本です。小見出しは多くの場合、大見出しで区切ったトピックをより細分化するイメージで作成されます。

大見出しの構成は、検索エンジンがWebページを評価する際にも参照される重要な要素です。見出しと構成を適切に整理すれば、検索エンジンの評価を高める効果も期待できます。

適切な発リンクは、ユーザーの効率的な情報収集を助けるための有効な施策です。コンテンツの内容と関連性の高いWebページに対しては積極的にリンクを貼り、ユーザーをサポートしましょう。

ただし、発リンクの数が過剰に多いコンテンツは「ガイドライン違反」とみなされ、ペナルティを受けるリスクがあります。ペナルティを受ければインデックスが削除される可能性もあるため、妥当な数に抑えてください。

検索エンジンのスムーズな内容理解を促すためには、コンテンツのテーマごとにディレクトリ分けを行いましょう。ディレクトリとは、Webサイトの階層です。同一テーマを扱うWebページを同一のディレクトリに設置すると、Webサイトの専門性を検索エンジンにアピールできます。

ディレクトリの構造は、階層が深くなるにつれて一般的なコンテンツから具体的なコンテンツになる「ツリー構造」が基本です。ユーザーが必要なコンテンツを容易に発見できるWebサイトを制作するためにも、ツリー構造を意識してディレクトリを整理しましょう。

検索結果に表示されるタイトルやディスクリプションは、ユーザーが閲覧するWebページを選択する際のヒントとして機能します。検索結果での表示のされ方を意識しつつ、魅力的なタイトルやディスクリプションを設定しましょう。

以下は、タイトルやディスクリプションを設定する際のコツです。

タイトルの文字数は、30〜35文字程度に調整することが基本です。ディスクリプションの文字数は、70〜120文字程度に調整するとよいでしょう。

タイトルやディスクリプションは、Webページごとに固有の内容を設定します。モバイル用のWebページを使用しているWebサイトでは、PC判とモバイル判の内容を分けることも重要です。

検索エンジンの内容理解を促すためには、適切に構造化データのマークアップを行うことも重要です。構造化データのマークアップを適切に行うことには、以下のメリットも期待できます。

リッチスニペットが表示されると検索結果におけるWebページの視認性は高まり、ユーザーのクリックを促す効果が期待されます。ナレッジグラフに情報が掲載されると検索結果の画面で企業や店舗の情報をアピールでき、認知度の向上を図ることが可能です。

ディレクトリ構造とは？設計時のポイントからよくある失敗例まで

当記事では、ディレクトリ構造の概要とSEOにおける重要性、設計時のポイントを紹介します。ディレクトリ構造の設計でよくある失敗例やSEO効果の高い構造を作るコツも併せて紹介するので、SEOに強いWebサイトを作りたい人はぜひご覧ください。

セマンティック検索とは、検索エンジンがユーザーの検索意図を理解して、検索結果を表示する技術のことです。Googleはユーザーの検索クエリに近い検索結果を表示するために、ハミングバードアップデートやRankBrainの導入など、段階的にアップデートを繰り返してきました。

セマンティック検索は検索意図に適合しない低品質のコンテンツを見抜くため、上位表示させるには高品質のコンテンツを作成していく必要があります。文章構成や記事テーマなどを明確にし、ディレクトリ分けをテーマごとにするなど、Webサイトの対策に講じましょう。