定量分析とは?定性分析との違いやメリット・デメリットを解説
定量分析は、さまざまな分野で活用されている分析手法の一つで、ビジネスにも取り入れられています。
ビジネス戦略の立案や施策の実施にあたり、客観的根拠を得るためデータ分析が求められるケースは少なくありません。また、似た名称を持つ「定量分析」と「定性分析」の違いが気になる方もいるのではないでしょうか。
当記事では、定量分析の概要から、メリット・デメリット、活用方法までを解説します。定性分析との違いにも触れるため、ぜひ参考にしてください。
1.定量分析とは?
定量分析とは、「数値データ」を用いた分析手法のことです。数値という誰が見ても明確な基準を用いることで、正確性・客観性の高い判断を行えるため、ビジネスにおける重要な意思決定や戦略立案に活用されています。
ビジネスにおいては、マーケティングツールの解析結果やアンケート調査で集計したデータなど、可視化された数値を用いて分析・評価を行います。
定量分析には複数の手法が存在するため、時と場合に応じた手法を選択することが重要です。
企業で戦略立案や経営の意思決定に携わる方のほか、マーケティング担当の方など、普段から数値を扱っている方は、定量分析を身に付けると実務に役立てることができます。
1-1.定性分析とは?定量分析との違いも
定性分析とは、数値を用いず質的データを用いて行う分析手法を指します。質的データとは、アンケートのコメントやSNSの口コミなどの数値で表せないデータです。定量分析と定性分析は対をなす手法であるため、併用されるケースも多くあります。
定性分析は数値を用いないため、評価基準が曖昧になったり主観が入り混じったりすることがネックですが、大局を見渡した自由度の高い判断を可能にします。定性分析で分析結果の質を高めるためには、評価基準となるフレームワークを活用することが効果的です。
顧客の心情に寄り添った調査を行うため、状況によっては定量分析よりも定性分析の方が適していることもあります。
2.定量分析のメリット・デメリット
定量分析は、数値化した情報・データを扱う分析手法であるため、分析結果の信頼性が高く、ビジネスにおいては非常に有益と考えられます。しかし、定量分析にもデメリットが存在します。
定量分析と上記で紹介した定性分析のメリット・デメリットは表裏一体でもあるため、両者を併用して相互に補完するという方法もあります。
ここでは、定量分析のメリット・デメリットについて解説します。
2-1.【メリット】数字を使った客観的な分析が可能
定量分析では、数値に基づく分析が行われ、結果も数値で示されます。数値で示された分析結果は、人の直感や主観を排除した客観的な判断を可能にするでしょう。
ビジネスのセオリーの一つに、「あらゆる経営の状態を数値で把握する」という考え方があります。定量分析を上手く活用すれば、ビジネス戦略上において的確で効果的な施策を実践できるでしょう。
また、定量分析による数値データには、解釈や認識の相違が生じにくいというメリットもあります。社内でのコンセンサスを取る場合や、顧客へプレゼンテーションを行う場合など、話の内容に説得力を持たせたい場合にも活用が可能です。
2-2.【デメリット】大局的な情報を読み取ることが困難
定量分析では、数値に基づいたデータを用いて信憑性の高い分析を行うことができますが、口コミなどの数値化できないデータを分析することはできません。そのため、定量分析のみに頼ってしまうと、ビジネスの全体像や大局的な情報を読み取れず、浅い部分の分析で終わってしまう可能性があります。
数値データを活用することはビジネスにおいて重要な考え方ですが、数値化できない情報が重要となるケースもあるため、定量分析のみを過信しないことがポイントです。
また、定量分析において分析データの信憑性を担保するためには、偶然による分析結果を回避できるだけの大量のデータを収集する必要があります。データ収集に多大なコストを要する場合があることにも留意しておきましょう。
3.定量分析の活用方法
定量分析は既に確立された手法がいくつか存在するため、これから定量分析を活用したい方は、分析の目的や結果の用途に適切な手法を選ぶことが大切です。
ここでは、定量分析の基本的な手法について紹介します。各分析手法の特徴や実施方法について把握しておきましょう。
3-1.クロス集計分析
クロス集計分析とは、数ある定量分析の手法のなかでも、最もシンプルでベーシックな分析手法です。収集したデータを年齢や性別などの属性別に分類して集計するクロス集計分析の手法は、属性別の傾向や各属性の関係性を把握する際に適していると言えるでしょう。
販売予測・顧客分析から世論調査・アンケート調査まで幅広く活用されており、汎用性が高いという特徴があります。また、クロス集計分析は、直感的に理解しやすく扱いやすい手法のため、初心者にもおすすめです。
3-2.ロジスティック回帰分析
ロジスティック回帰分析とは、特定の事象の発生確率を予測するための分析手法です。分析したい事象に対して「はい」「いいえ」のみの答えで集計を行い、0~1の間で結果を示します。
例えば営業活動においてロジスティック回帰分析を行う場合、「顧客がどのような購買行動を取っているか」ではなく、「顧客が購入したか否か」のみを集計・分析します。分析結果から、顧客の購買率・傾向を把握することで、顧客の行動を予測し、効果的な販売手法を見いだせるでしょう。
ロジスティック回帰分析は、ビジネス以外でも、医療などの研究・開発分野で広く活用されています。
3-3.クラスター分析
クラスター分析とは、収集したデータを類似性・共通性を持つデータごとにグループ分けして、グループごとに見られる特徴・属性を分析する手法です。グループ分けしたデータのことをクラスターと呼びます。
例えば、金額の異なる3種類の商品を価格・売上・客層でグループ分けした場合は以下のようなことがわかります。
■商品データ
商品A
価格 | 売上 | 主客層 |
---|---|---|
2,000円 | 30万円 | 40代女性 |
商品B
価格 | 売上 | 主客層 |
---|---|---|
1,500円 | 100万円 | 30代女性 |
商品C
価格 | 売上 | 主客層 |
---|---|---|
980円 | 70万円 | 20代~30代女性 |
■グループ分けしたデータ
1000円以上の商品 | 商品A・商品B |
---|---|
売上50万円以上達成の商品 | 商品B・商品C |
40代の女性に売れている商品 | 商品A |
クラスター分析は、上記のような一定の基準を持たないデータをグループ分けすることで、データ同士の関連性や傾向を容易に把握できることが特徴です。
ビジネスにおいては、消費者の動向や潜在ニーズの把握に役立てられるため、商品・サービスの開発などに活用されています。
3-4.アソシエーション分析
アソシエーション分析とは、多種多様な大量のデータを用意して、関連性のなさそうなデータ同士の分析を行い、隠れた類似性や関係性を見いだす分析手法です。人の認識や先入観では発見できない分析データを得られるという特徴があります。
アソシエーション分析は、同時購入の傾向やオンライン・オフラインの相違点を発見することに適しているため、小売業で積極的に活用されています。分析結果を商品の陳列やプロモーションに活用することで、効果的な販促に繋げられます。
まとめ
数値を用いた分析手法である定量分析は、ビジネスにおける意思決定や戦略立案に大いに役立てることができます。定量分析の手法は既に確立されているため、自社の業態や状況に応じた手法を用いることで、効果的にビジネスを成長させられるでしょう。
定量分析は万能ではありませんが、対照的な特性を持つ定性分析を併用すれば、デメリットをカバーでき、柔軟な分析が可能となります。
データ分析に興味を持つ方は、ぜひ定量分析について理解を深め、業務に取り入れてみてください。
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