DSPとは?利用するメリット・デメリットや導入する際のポイントも
DSPという用語を見聞きしたことがあるものの、どのような広告媒体かよく分からないという方も多いのではないでしょうか。DSPを活用すると、自社のターゲットに合わせて効果的に広告を出稿することが可能です。
この記事では、DSPの仕組みやメリットとデメリット、課金方式、導入時に注意すべきポイントについて解説します。DSPの特徴を理解し、自社の集客やブランディングなどに生かしたいWebマーケティング担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
1.DSPとは
DSPとは「Demand Side Platform」の略称で、ターゲティングや出稿などが一括で行われる広告サービスを表します。DSPに予算やターゲット属性、クリエイティブなどの情報を設定すると、最適なユーザーに広告を表示させることが可能です。
DSPには、アルゴリズム型と運用型の2種類があります。アルゴリズム型は、配信結果などのデータに基づき、広告設定が自動で最適化される仕組みです。一方、運用型ではターゲティングや入札価格などを広告主が手動で設定できます。
1-1.DSPの仕組み
DSPで広告が配信されるまでの仕組みは、次の通りです。
- (1)DSPの広告枠があるWebサイトにユーザーがアクセス
- (2)ユーザー属性に基づきDSP広告が募集される
- (3)ターゲティングがマッチした複数のDSP広告で入札が行われる
- (4)入札価格が最も高かったDSP広告がWebサイトに表示される
DSPの提供会社は複数存在し、各DSPには利用企業の広告が設定されています。競合よりも高い入札価格を設定していた場合に、広告を表示させることが可能です。
上記の流れは自動で行われ、0.1秒以内など短い時間で広告が表示されます。
1-2.DSPとSSP・アドネットワークとの違い
SSPとは「Supply Side Platform」の略称です。DSPが広告主側のツールであることに対して、SSPは広告枠を提供する媒体側によって利用されます。
Webサイトにユーザーが訪問した時に、広告リクエストを受け付けるシステムがSSPです。SSPがDSPに入札をリクエストし、表示される広告が決まります。このように、DSPとSSPは対になって機能するシステムです。
アドネットワークとは、複数のWeb広告枠を管理しているシステムを表します。DSPと異なり、アドネットワークでは配信先の媒体を指定した上で広告出稿が可能です。
2.DSPを利用するメリット・デメリット
DSPには、ターゲットユーザーをピンポイントで狙えたり、運用負担を減らせたりするなどのメリットがあります。ただし、DSPにはいくつかのデメリットもあるため、運用前に特徴を把握しておくことが重要です。
ここでは、DSPを利用するメリット・デメリットを紹介します。
2-1.メリット
DSPの主なメリットは次の4つです。
・興味・関心が高いユーザーにピンポイントで宣伝が可能
DSPを利用すると、性別や年代などのユーザー情報をもとに広告を配信できます。自社の商品に対する興味・関心が高いユーザー層を狙って広告を出せることがDSPのメリットです。
・類似ユーザーに広告を配信できる
DSPの提供会社によっては、過去に何らかのアクションを取ったユーザーと類似するユーザーに広告を配信できます。商品購入や資料請求などをしたユーザーと行動履歴が似ているユーザーに広告を配信し、成果を高めることが可能です。
・サイトの規模にかかわらず広告主の条件に合わせて配信できる
DSPを利用すると、配信ジャンルや入札額などを細かく調整できます。サイトの規模にかかわらず希望の条件に合わせて広告を配信できることがDSPのメリットです。
・広告運用の負担を減らせる
アルゴリズム型のDSPでは、入札単価や出稿量の調整が自動で最適化されます。DSPを利用すると、手動で運用する場合と比べて広告運用者の負担を減らすことが可能です。
2-2.デメリット
DSPの主なデメリットとして、次の3つが挙げられます。
・広告の配信サイトが事前に確認できない
一部のDSPでは、広告がどのようなサイトに配信されたか確認できません。配信先サイトが不明確だと、費用対効果が低かった場合に最適化しにくい点がデメリットです。
・広告費以外にもDSP利用料が発生する
多くのDSPでは、広告費以外にDSP利用料がかかります。初期費用や手数料など、DSPごとに設定された利用料の支払いが必要です。
・DSP広告サービスによって効果が異なる
DSPの提供会社によって、広告の配信先メディアが異なります。同じターゲティング設定であっても、DSPサービスごとに効果が異なる点がデメリットです。
3.DSPの入札方式・課金方法
DSPの入札方式は「RTB」と呼ばれます。RTBとは「Real Time Bidding」の略称で、広告表示の機会が発生するたびにリアルタイムで入札される仕組みです。
DSPの課金方法には、CPM課金とCPA課金の2種類があります。
・CPM課金
CPMとはCost Per Milleの略称です。CPM課金では、広告が1,000回表示されるごとに広告費が発生します。広告がクリックされた回数は、広告費に影響しません。そのため、クリック率が高いほど割安で広告を出稿することが可能です。
CPM課金はブランディングを目的として、ユーザーへの表示回数を増やしたい場合に適しています。CPM課金で1,000回表示ごとに発生するDSP広告費の相場は、100円~500円程度です。
・CPC課金
CPCとはCost Per Clickの略称で、1クリックあたりの広告費を表します。CPC課金は、DSP広告がユーザーによってクリックされた回数に応じて広告費が発生する仕組みです。
CPC課金は広告を通じて商品やサービスを販売したり、資料請求を獲得したりしたい場合に適しています。CPC課金で1クリックごとに発生するDSP広告費の相場は50円から100円程度です。ただし、課金方式にかかわらず、実際にかかる広告費は相場より高くなる場合があります。一般的に、競合の広告主が多いターゲティング設定を行った場合に広告費が高くなる傾向です。
4.DSPを導入する際のポイント5つ
DSPの運用を成功させるためには、以下の5つのポイントに注意する必要があります。
・DSPサービスの配信デバイスを確認する
DSPを導入する前に、対応している配信デバイスを確認しましょう。DSPサービスによっては、パソコンのみ、スマートフォンのみという形で配信デバイスが限定されています。ターゲットユーザーの属性やランディングページの内容を踏まえて、適切なデバイスに配信できるDSPを選ぶことが重要です。
・連携先のSSPを確認する
連携先のSSPはDSPによって異なります。ターゲットユーザーが閲覧している媒体が連携先に含まれているか確認した上で、DSPを選びましょう。
・ターゲットの重複を避ける
複数のDSPで同じ広告キャンペーンを実施する場合、ターゲットの重複を避けることが重要です。ターゲットが重複していると、自社が出稿した広告同士が入札競争を引き起こすリスクがあります。同じターゲット設定を複数のDSPで行っても、リーチが広がることはありません。複数のDSPを使用する場合、異なるターゲット設定を行いましょう。
・優先して出稿したい・出稿したくない媒体への対応が可能か確認する
DSPによっては、特定の媒体を優先して広告を表示させたり、掲載したくない媒体を指定したりできます。自社のブランドイメージに合う媒体へ広告を出したい場合、掲載先を選定できるDSPを選びましょう。
・広告効果を定期的にチェックする
DSPを導入した後は、広告効果を定期的にチェックすることが重要です。競合の参入や配信先媒体の追加・削除など、外的な要因によってDSPのパフォーマンスが変わる可能性があります。定期的なチェックを行うと、広告の単価や費用対効果が急激に悪化した場合もすぐに対処することが可能です。目標とする成果が得られているかを週ごと・月ごとに分析し、DSPを運用しましょう。
まとめ
DSPは入札価格の調整やターゲティングを一括で行う広告配信システムです。DSPの配信枠があるWebサイトをユーザーが閲覧すると、ユーザー属性に合う広告が表示されます。
興味・関心が高いユーザーに広告を配信できることや、広告運用を効率化できることなどがDSPのメリットです。一方、DSPによっては配信サイトが確認できないことや、利用料が発生することがデメリットとして挙げられます。
DSPはリアルタイムに入札が行われ、CPC課金またはCPM課金を選ぶことが可能です。この記事で紹介したポイントを押さえて、ぜひDSPを活用してください。