Webサイトの制作では、モダンブラウザに対応することが重要とされています。モダンブラウザはWeb標準であり、SEO対策やアクセシビリティ向上に繋がるためです。
しかし、そもそもモダンブラウザとは何か、詳しく知らないWeb担当者も多いのではないでしょうか。モダンブラウザの対義語であるレガシーブラウザも存在するため、両者の違いを知ることが大切です。
そこで今回は、モダンブラウザの説明やレガシーブラウザとの違い、モダンブラウザの種類など、モダンブラウザの基本情報を中心に紹介します。
1.モダンブラウザとは?
モダンブラウザとは、Web標準に対応するブラウザのことです。モダンとは「現代的な」の意味であり、Webサイト閲覧に使用するブラウザの中でも、比較的新しいブラウザを指して「モダンブラウザ」と呼びます。
一方、レガシーブラウザとは、Web標準に十分対応できていない、古いブラウザのことです。モダンブラウザであれば表示・再生ができるコンテンツでも、レガシーブラウザでは表示さえできないケースが起こり得ます。
1-1.モダンブラウザが対応する「Web標準」
モダンブラウザが対応する「Web標準」とは、一般的にW3C(World Wide Web Consortium)が勧告するWeb規格を示す用語です。W3CはWeb技術の標準化を進める非営利団体であり、HTML5・CSS・DOMなどWeb制作において重要性が高い技術の仕様を公開・勧告しています。
Web標準に対応することが重要である理由は、インターネット通信では互換性が重要であるためです。たとえばブラウザAとブラウザBの技術仕様が異なる場合、ブラウザAで表示できるWebサイトを制作しても、ブラウザBでは表示できない可能性があります。ブラウザBにも表示させるために、Web制作者は余分な開発をしなければなりません。Web標準に対応しているモダンブラウザであれば、異なるブラウザ同士であってもWebサイトを正常に表示できます。
とくに、Webサイトを構築する最新のマークアップ言語であるHTML5は、Webサイト側に対応が強く求められているWeb標準の一つです。
2.モダンブラウザと呼べるブラウザ6選
モダンブラウザの概要だけでは、モダンブラウザとは具体的に何を指すのかが分からない人も多いでしょう。ここでは、現代における代表的なブラウザの種類を6つ紹介し、モダンとされるバージョン情報についても解説します。
なお、各項目で紹介するブラウザのシェア率は、「StatCounter」のデータを基としています。
2-1.Google Chrome
Google ChromeはGoogleが開発するブラウザです。
Google Chromeは拡張機能が充実しており、ウェブストアでアドオンを取得することでブラウザの機能追加ができます。ブラウザの設定はGoogleアカウントに保存できるため、異なる端末を使用する場合も、アドオンやブックマークなどの情報を引き継ぐことが可能です。
StatCounterが発表するブラウザ10種の中では、世界シェアが64.19%と非常に高くなっています。順位は、他のブラウザを大きく引き離して1位です(2021年3月時点)。
出典:StatCounter「Browser Market Share Worldwide」
モダンブラウザ |
レガシーブラウザ |
バージョン4以降 |
バージョン3以前 |
2-2.Mozilla Firefox
Mozilla FirefoxはMozilla Foundationが開発するブラウザです。
アドオンによる拡張機能が充実しているとともに、メモリ消費量が少なく、低スペックのパソコンでも動作が安定します。トラッキング拒否やプライベートデータの消去など、プライバシー保護やセキュリティ対策に役立つ機能を備えていることも特徴です。
StatCounterが発表するブラウザ10種の中で、世界シェアは3.68%、順位は3位となっていました(2021年3月時点)。
出典:StatCounter「Browser Market Share Worldwide」
モダンブラウザ |
レガシーブラウザ |
バージョン6以降 |
バージョン5以前 |
2-3.Safari
SafariはAppleが開発する、iPhone・iPadやMacなどのApple製品に標準搭載されているブラウザです。WindowsやAndroidでは、利用できない点に注意してください。
デザインや操作性が洗練されているブラウザであり、動作が軽い、スワイプ操作に対応していることなどが特徴です。iCloudと併用することで、異なるデバイス間でWebページを共有することもできます。
StatCounterが発表するブラウザ10種の中では、世界シェアが19.03%、順位は2位です(2021年3月時点)。
出典:StatCounter「Browser Market Share Worldwide」
モダンブラウザ |
レガシーブラウザ |
バージョン4以降 |
バージョン3以前 |
2-4.Opera
Operaはオペラ・ソフトウェアが開発するブラウザです。
タブブラウジングやスピードダイヤルの草分け的存在であり、加えてサイドバーも搭載されています。ユーザーによるカスタマイズ性が高く、ユーザーが設定した地域・トピックスのニュースを自動表示するサービスも特徴です。
StatCounterが発表するブラウザ10種の中で、世界シェアは2.13%、順位は6位でした(2021年3月時点)。
出典:StatCounter「Browser Market Share Worldwide」
モダンブラウザ |
レガシーブラウザ |
バージョン10以降 |
バージョン9以前 |
2-5.Microsoft Edge
Microsoft EdgeはMicrosoftが開発する、Windows10に標準搭載されているブラウザです。
現行バージョンのMicrosoft EdgeはChromiumベースであり、Google Chromeに近い操作感で使用することができます。Microsoftアカウントを保有していると異なる端末間でブラウザ同期が可能であることも特徴です。
StatCounterが発表するブラウザ10種の中では、世界シェアが3.45%、順位は4位となっていました(2021年3月時点)。
出典:StatCounter「Browser Market Share Worldwide」
モダンブラウザ |
レガシーブラウザ |
リリース時よりWeb標準に対応 |
– |
2-6.Internet Explorer
Internet ExplorerはMicrosoftが開発していた、現在ではアップデートが終了しているブラウザです。
他ブラウザと比べてレガシーなシステムとなっており、サポート対象も縮小されているため、開発元のMicrosoftはEdgeへの移行を推奨しています。脆弱性も指摘されているため、特別な事情がない限り、Web制作においてInternet Explorerに対応する必要はありません。
StatCounterが発表するブラウザ10種の中で、世界シェアが0.73%、順位は9位となっています(2021年3月時点)。
出典:StatCounter「Browser Market Share Worldwide」
モダンブラウザ |
レガシーブラウザ |
バージョン9以降 |
バージョン8以前 |
3.Webサイトはモダンブラウザに対応しよう!
新たにWebサイトを立ち上げる場合でも、現在運営中のWebサイトを改善する場合でも、Webサイトはモダンブラウザに対応することが重要です。
Webサイトがモダンブラウザに対応すると、Web標準に対応していることに繋がり、下記のメリットがあります。
・SEO対策に効果的である
検索エンジンはWeb標準を意識しており、HTML5とCSSで作成されたページをスムーズにインデックスできるように開発されています。そのため、モダンブラウザに対応したWebサイトは、検索エンジンにとって理解しやすい文書構造となり、SEO対策に効果的です。
・アクセシビリティの向上に繋がる
アクセシビリティとは、Webサイト上に存在するコンテンツへのアクセスしやすさのことです。モダンブラウザに対応したWebサイトは、ユーザーが利用する端末・ブラウザによってアクセス性が左右されにくくなります。
・サーバーやユーザーの負担を軽減できる
モダンブラウザに対応したWebサイトでは、HTML5にテキストを記述して、CSSのスタイルシートにデザインを記述します。ページにアクセスするとCSSはブラウザ側にキャッシュされるため、通信するHTML5ファイルの軽量化が可能です。複数回アクセスする場合の通信量を抑えることができ、サーバーやユーザーの負担を軽減できます。
まとめ
モダンブラウザとは、Web標準に対応するブラウザのことであり、対義語はレガシーブラウザです。モダンブラウザとしては、Google ChromeやMozilla Firefox、Safari、Operaなどが知られています。
Webサイトの制作でモダンブラウザに対応することは、Web標準に対応することに繋がり、SEO対策として効果的です。アクセシビリティ向上やユーザー・サーバーの負担軽減もできるため、Webサイトはモダンブラウザに対応できるように制作しましょう。