カスタマージャーニーマップとは?作り方とポイントを併せて紹介
マーケティングに役立つ手法を勉強している際、「カスタマージャーニーマップ」という用語を知った方も多いのではないでしょうか。
カスタマージャーニーマップは、ユーザーが自社の商品・サービス関わってから、利用するまでの道筋を可視化できるマップです。カスタマージャーニーマップを使えば、今まで気づかなかった課題・マーケティング施策の改善点を見つけることができます。
本記事では、カスタマージャーニーマップの概要や作成方法、作る際に注意するべきポイントについて解説します。企業でマーケティングを担当している方は、ぜひ参考にしてください。
1.カスタマージャーニーマップとは?
カスタマージャーニーマップとは、ユーザーが自社の商品・サービスを知ってから利用するまでの行動や心理状態などを洗い出す、マーケティングツールのことです。自社の商品やサービスをユーザーが初めて認知してから、購入し、利用に至るまでの流れに沿って情報が整理されています。
SNSや口コミサイトなどが増え、ユーザーの行動が多様化した現在では、カスタマージャーニーマップがマーケティングに役立ちます。さまざまなユーザーとの接点や、各ユーザーの顧客体験をカスタマージャーニーマップに書き出せば、全体像が把握できます。
1-1.カスタマージャーニーマップを作る目的
カスタマージャーニーマップを作る目的は、単にユーザーの状態を把握するためだけではありません。
カスタマージャーニーマップを作る主な目的として、以下の3つが挙げられます。
●目的1:顧客の視点を持つため
カスタマージャーニーマップを作る目的は、顧客の購買行動や考えを可視化し、顧客の視点から事業を見直すためです。自社の商品・サービスの売り手や作り手の視点からでは発見できなかった、改善点や販売戦略の問題点に気づくことができます。
●目的2:すべての顧客接点で満足度を高めるため
カスタマージャーニーマップを作れば、複数ある顧客接点を洗い出し、各接点での顧客満足度を高める方法を考えることができます。また、今後想定される顧客接点から、どのような対応を取るべきかを、あらかじめ考えることも可能です。
●目的3:部署同士が連携しスピーディーに課題解決をするため
カスタマージャーニーマップは、顧客に関する情報・顧客体験を可視化した形で共有できます。そのため、部署同士が連携する際にも活用でき、スピーディーな課題解決に役立てることが可能です。
カスタマージャーニーマップを作ることで、事業の課題発見・顧客満足度の向上・部署同士のスムーズな連携に活用できます。
2.【STEP別】カスタマージャーニーマップの作り方
カスタマージャーニーマップを作る際は、以下に挙げる2つの準備から始めましょう。
●目的の明確化とゴール設定
まずは、カスタマージャーニーを作る目的について考えることが大切です。カスタマージャーニーマップを作る目的の例として、「新しく展開する、飲食店経営者向けの求人サービスを販売するため」や、「既存顧客向けの新商品を販売するため」などが挙げられます。
目的が明確になったあとは、ゴールを設定しましょう。ゴールを決める際は、「飲食店経営者の行動を洗い出し、サービス内容や販路を決める」など、具体的に定めることが大切です。
●ペルソナ設定
ペルソナとは、自社のターゲットユーザーについて、できる限り具体的に書き出した顧客像のことです。ペルソナ設定の例は、以下のとおりです。
<ペルソナ設定の例>
- 30歳
- 男性
- 妻と息子の3人暮らし
- 製造業
- 年収400万円
- 趣味は野球(草野球チームに所属)
- 土日祝休みで休日は家族と出かけることが多い
ペルソナ設定をする際は年齢や性別、職業に関わることだけなく、趣味や休日の過ごし方なども詳しく書き出し、具体的な顧客像を作ることが大切です。
カスタマージャーニーマップを作る準備ができたあとは、以下の手順に沿ってカスタマージャーニーマップを作りましょう。
2-1.【STEP1】縦軸・横軸の項目を決める
カスタマージャーニーマップには、縦軸と横軸に複数の項目があります。最初のステップは、縦軸と横軸に含める項目を決定することです。
一般的にカスタマージャーニーマップの縦軸には、次のような項目が含まれます。
<縦軸に含める項目例>
- ユーザーの行動
- タッチポイント
- ユーザーの思考
- ユーザーの感情
- 解決すべき課題
タッチポイントとは、顧客との接点となる部分です。例を挙げると、SNS・Webサイト、実店舗などがタッチポイントに該当します。
横軸の項目は、ビジネスの種類や取り扱う商品によって異なります。たとえば、飲食店経営者向けの求人サービスについてカスタマージャーニーマップを作る場合、次のような横軸の設定が考えられます。
<横軸に含める項目例>
- サービスの認知
- 資料請求
- 他社サービスとの比較検討
- 見積依頼
- サービスの購入
- サービスの運用
ユーザーが自社を知り、興味を持ってから商品購入に至るまでを時系列に沿って横軸を設定することが一般的です。
カスタマージャーニーマップを作る目的やゴールに合わせて、必要な縦軸と横軸を設定しましょう。
2-2.【STEP2】行動やタッチポイントを設定する
カスタマージャーニーマップの縦軸と横軸を設定したあとは、顧客行動やタッチポイントなどの項目から順番に書き込みます。ユーザーが最初に取る行動や、どの部分でサービスとの接点を持つかを把握するために、行動やタッチポイントの設定が必要です。
行動やタッチポイントの項目は、各フェーズにおけるユーザーの行動を具体的にイメージして書き込みましょう。
たとえば、サービスを認知するフェーズでは、「インターネットで飲食店の経営に関する情報を検索していたら、インターネット広告で飲食店経営に関わる情報を見かけて内容が気になった」などと記載します。この場合、タッチポイントはインターネット広告です。
<記載方法の例>
サービスの認知 | |
---|---|
行動 | インターネットで「飲食店の経営に関する情報」を検索していたら、インターネット広告で「飲食店経営に関わる情報」を見かけてサービスの内容が気になった |
タッチポイント | インターネット広告 |
上記の表と同じように、資料請求や比較検討などのフェーズについても、行動とタッチポイントを記載してください。
2-3.【STEP3】思考や感情を設定する
すべてのフェーズで行動とタッチポイントを書き込んだあとは、ユーザーの思考や感情を設定しましょう。自社の商品・サービスの購買を促進したり、顧客満足度を高める施策を考えたりする際は、ユーザーの思考や感情を把握する必要があります。
サービスを認知するフェーズにおける思考の例は、「飲食店の求人応募数を増やす方法はないだろうか」などです。また、感情は「現状のスタッフ数では忙しくて大変」「もっと繁盛させたい」などと書き込みます。
<記載方法の例>
サービスの認知 | |
---|---|
行動 | インターネットで「飲食店の経営に関する情報」を検索していたら、インターネット広告で「飲食店経営に関わる情報」を見かけてサービスの内容が気になった |
タッチポイント | インターネット広告 |
思考 | 飲食店の求人応募数を増やす方法はないだろうか |
感情 |
|
ユーザーの思考や感情を設定する際は、ポジティブな情報とネガティブな情報を両方想定することが重要です。
2-4.【STEP4】課題の分析をする
カスタマージャーニーマップの行動やタッチポイント、思考・感情の欄を設定したあとは、事業の課題分析を行いましょう。各フェーズでユーザーが感じる不満について考えると、課題が見つかりやすくなります。
たとえば、他社サービスとの比較検討段階における課題の例は「似たようなサービスが多くて違いがわかりにくい」などです。この場合、「自社サービスの特徴を明確に伝え、競合他社のサービスとの差別化を図ること」が対策となります。
<記載方法の例>
サービスの認知 | |
---|---|
行動 | インターネットで「飲食店の経営に関する情報」を検索していたら、インターネット広告で「飲食店経営に関わる情報」を見かけてサービスの内容が気になった |
タッチポイント | インターネット広告 |
思考 | 飲食店の求人応募数を増やす方法はないだろうか |
感情 |
|
課題 | 似たようなサービスが多くて違いがわかりにくい |
カスタマージャーニーマップに沿って課題を分析すれば、サービスの認知から購入までの各フェーズにおける改善点を見つけることが可能です。
3.カスタマージャーニーマップを作る際のポイント
カスタマージャーニーマップを作る際は、できる限り多くの関係者とともに作業を行うことがポイントとなります。理由は、自社の商品・サービスに対する視点が、部署や担当者ごとに異なるためです。
また、顧客が実際に体験した内容は、顧客視点でカスタマージャーニーマップを作る際に役立ちます。自社の既存顧客に協力を依頼できる場合は、顧客側の意見も取り入れながらカスタマージャーニーマップを作成すると良いでしょう。
まとめ
カスタマージャーニーマップは、顧客が自社の商品・サービスを認知してから購入、使用に至るまでの行動や心理的な変化を書き出したマーケティングツールです。そのため、事業の課題を発見したり、顧客満足度を高める施策を考えたりする際に、カスタマージャーニーマップが役立ちます。
カスタマージャーニーマップを作る準備として、ゴールやペルソナの設定が必要です。準備ができたら、縦軸・横軸の項目やユーザーの状態を書き出し課題の分析を行いましょう。
自社の商品・サービス、マーケティング戦略を顧客目線で見直し、改善したい方はカスタマージャーニーマップを活用してみてはいかがでしょうか。
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